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坐骨神経痛と腰椎椎間板ヘルニア
坐骨神経痛とは
  坐骨神経図背骨から出た坐骨神経は、お尻を貫いて太ももの後面 を下がり、ふくらはぎを通って足に分布します。 この神経の通り道が痛むのが坐骨神経痛です。
 
坐骨神経痛を病名だと思っている方がいます。 しかしこれは「腹痛」等と同じように単なる症状名で、その原因としては腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離辷り(すべり)症、仙腸関節炎、梨状筋症候群、股関節疾患などさまざまです。
ここでは坐骨神経痛の主な原因である腰椎椎間板ヘルニアについてご説明します。
腰が悪いのになぜ下肢(足)が痛むのか
  坐骨神経痛の起こる部位下肢の痛みを脳に伝えるのは主に坐骨神経とその中枢にある脊髄ですが、下肢以外のところでもこの神経のどこかに異常があると下肢の痛みとして感じてしまうのです。
 
電話を考えると解りやすいでしょう。 電話線を途中(腰)でいたずらすると、聞き手(脳)は話し手の所(下肢)で音がしたと思うのと同じです。 このように腰に悪い所があっても坐骨神経の支配域である太もも、ふくらはぎや足などに痛みを起こすのです。
腰椎椎間板ヘルニアとは
  腰椎椎間板ヘルニア図こしぼねは5つの腰椎骨と1つの仙骨、そしてそれぞれの骨の間にある椎間板というクッションからできています。
 
この椎間板はアンパンのような構造をしていて外側のパンの部分を繊維輪といい、その中に髄核という粘性のアンコが入っています。 これらの後方には脊柱管という管が腰骨の中にあって、ここを神経が通っています。 このパンの部分が裂けてアンコが出っ張って、それが後ろにある神経に悪さをして痛みやしびれ、麻痺などを起こすのが腰椎椎間板ヘルニアです。
診断方法
  理学的所見と画像診断とを合わせて診断します。
理学的所見で有名なのはSLR(Straight Leg Raising)テストと呼ばれるもので、これは膝を伸ばした状態で下肢が何度上がるかを診るものです。
その他にはしびれている範囲、下肢の筋肉の力の出具合などを調べます。 画像診断としてはX線撮影、MRI検査、CT検査、脊髄造影、椎間板造影、神経根造影などがあります。
※当院では、術前術後の評価判定のために、日本整形外科医会の判定基準をアンケート形式で実施しています。
椎間板ヘルニアはなぜ痛いか
  図痛みの原因や起こり方がすべて分かっているわけではありません。 しかしこれを知ることは、椎間板ヘルニアを治す上でとても重要なことなのです。
 
興味深い実験があります。
手術の際に、椎間板ヘルニアのあった所に小さな風船を入れておき、麻酔から覚めた後に膨らませると、痛みを起こします。 しかしヘルニアのなかった神経根の所では患者様はしびれやだるさを感じますが、痛みは起こらなかったのです。 つまり単なる圧迫では、痛みは起こらないのです。
 
普通、体の一部分を押しても痛くはないでしょう。 しかし叩いたりしてその部分が赤く腫れ上がると、触っただけでも痛くなります。 このようにヘルニアでは単に神経を圧迫しているだけではなく、その部分に炎症が起こって痛くなっているのです。 炎症がなくなれば、痛みはひいて、単なるしびれや、だるさだけになることが予想されます。 これならば我慢できるでしょう。
 
ですから治療の主眼は、出っ張ってしまったヘルニアを引っ込めることではなく、その部分の炎症をとることなのです。
治療は炎症を抑えることが主です
  痛い時には、体を動かさない様にすることが第一です(安静)。 横になっているのも良いでしょうし、コルセットをするのも良いでしょう。 貴方が最も楽な姿勢で安静にすることが肝心なのです。  次は炎症を抑える薬です。 「単なる痛み止めは飲みたくない」というのはもっともです。 原因を治さないで、痛みだけを感じさせなくするような治療は受けたくないのは当然です。 しかし医師が処方するいわゆる痛み止めは消炎鎮痛剤で、炎症を治す効果 も持っているのです。図
薬で効かない場合は注射を行います
  仙骨ブロックや腰部硬膜外ブロックなどは、炎症を起こしている部分に局所麻酔剤や副腎皮質ステロイド剤などを注入するものです。 また神経根(神経の根元の部分)や椎間板に注射をすることもあります。 これもやはり炎症をとることで痛みを治そうというものです。 また痛む所や下肢の神経への注射も行われます。 この原理はわかっていませんが、悪い所よりもずっと先でブロックをしても、痛みがひくことがあるのです。  それでもだめならPLDD(レーザー治療)MED(微小内視鏡椎間板切除術)PN(経皮的髄核摘出術)や手術を行います。
ヘルニアを放っておくとどうなる?
  以前はヘルニアは引っ込まないと考えられていました。 しかし、近年MRIで経過を観察していますと、中には出っ張った部分がなくなったり縮んだりする場合もあることがわかってきました。
また、手術を受けた患者様と、受けなかった方を比べた研究報告があります。 1年後では手術を受けたほうが良い成績でしたが、4年後にはほとんど差がなくなったというものです。 ですから椎間板ヘルニアは、もちろん例外もありますが、数年の間には治ってしまうといえます。
手術はどのような時に必要か
   椎間板ヘルニアでは、経過を見ていても(手術を受けなくとも)手遅れとなるようなことは原則的にありません。 ですからご本人が手術を受けようと思ったときが手術が必要なときです。
しかし尿失禁などの膀胱直腸障害や、筋肉の麻痺は一旦起こると治るのに非常に時間がかかり社会生活に不都合を生じます。
そこで膀胱直腸障害が起こる可能性が高い場合、つまり肛門の周囲にシビレなどが起こったり脊柱管の大部分を占めるような巨大なヘルニアでは一刻も早く手術を受けられた方が良いでしょう。
 
その他3ヶ月間治療しても良くならない時、また3ヶ月以内でも職場や学校に行けないぐらいの激しい痛みが続くような時もPLDDMED、手術を考えることになるでしょう。
 
手術方法にはPLDDや、PN:経皮的髄核摘出の様な中間療法と一般 の手術があります。
一般の手術方法は大きく分けて2種類があります。 出っ張ったアンコの一部分を取り除くだけの方法と、それだけではなく骨に固定術を加える方法です。 MEDは小さな切開で内視鏡を使ってアンコの一部分を除く方法です。
Q&A
 
Q01. 腰椎椎間板ヘルニアの好発年齢は?
A01. 20代、30代が好発年齢です。 しかし最近はもっと高齢の方でも、純粋な腰椎椎間板ヘルニアになる方が増えてきました。
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Q02. 薬で胃が痛くなった。どうすれば?
A02. 炎症を抑える薬は胃を悪くすることがあります。しかし色々な種類がありますので、主治医にご相談ください。 いくつか薬を替えてくれるでしょう。
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Q03. 腹筋と背筋とどちらを鍛えれば良いのでしょうか?
A03. まず急性期には安定が必要です。慢性期には予防法として体幹筋を鍛えるのは良い方法です。 腹筋が必要という医師と背筋が必要という医師と様々です。しかし現在は両方、すなわち腹筋と背筋のバランスがとれていることが必要とされています。
また腰まわりの関節や筋肉を伸ばすストレッチングも有効です。
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Q04. 出てしまったヘルニアは治療でもとに戻るのでしょうか?
A04. 治療は主に炎症をとることです。出っ張ったヘルニアは普通 、治療では引き込みません。
詳しくは「ヘルニアを放っておくとどうなる」をご覧ください。
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Q05. 腰椎椎間板ヘルニアを放っておくとどうなりますか?
A05. ヘルニアを放っておいても、年の単位では良くなります。しかし尿失禁などの膀胱直腸障害や筋肉の力の低下は一度起こってしまうとあまり改善されません。
詳しくは「ヘルニアを放っておくとどうなる」をご覧ください。
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Q06. 針や灸、カイロプラクティスなどの民間療法は?
A06. 原則的に何をやっても結構です。その効果は患者様自身が最も良くわかります。
しかし、背骨に強い力をかけるような療法ではヘルニアの悪化をみた例がたくさんありますので注意してください。
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Q07. 牽引をしていますがちっとも良くなりません
A07. 主治医にご相談ください。貴方が良くないと感じる治療は効果のない場合が多いです。
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Q08. レーザー治療(PLDD)について教えてください
A08. PLDDは経皮的レーザー椎間板減圧術の頭文字を取ったものです。
針を椎間板のアンコに刺し、その先からレーザーを照射してアンコの一部分を蒸発させて治療するものです。またレーザー自体にも消炎鎮痛効果 があります。
すべてのヘルニアに効くというわけではありませんが、成功率も60%程度で、さしたる副作用もなく、入院も2日程度ですので、手術の前に考えてもよい治療方法でしょう。
PLDDのページで詳しく紹介していますのでそちらもご覧ください。
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Q09. 内視鏡を使用した手術(MED)について教えてください
A09. MED(微小内視鏡椎間板切除術)は、内視鏡を用いた椎間板ヘルニアの手術方法です。
手術時間が1時間程度で、出血はほとんどありません。 また傷口は16mmです。入院期間は原則1週間で、早期に社会復帰できる特徴があります。
MEDのページで詳しく紹介していますのでそちらもご覧ください。
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Q10. 手術を勧められたけど本当に必要ですか?
A10. 手術はどのようなときに必要か」をご覧ください。
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Q11. 手術を受けると歩けなくなるという人がいますが?
A11. 頚椎や胸椎の手術では歩けなくなることが100%ないとは言いきれません。しかし腰椎椎間板ヘルニアの手術では信頼できる病院で行えばそのようなことは起こらないでしょう。
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Q12. なぜ腰が悪いのに下肢が痛くなったり、しびれたりするのですか?
A12. 下肢を支配している坐骨神経を、腰椎のところで刺激しているからです。
詳しくは「腰が悪いのになぜ下肢(足)が痛むのか」をご覧ください。
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