頚椎椎間板ヘルニアけいついついかんばんへるにあ

質問と回答

頚椎椎間板ヘルニアはどんな病気ですか?

首には7個の椎体という骨と、その骨と骨とつなぐクッションのような柔らかい組織があります。この組織を椎間板と言いますが、周囲は繊維輪という比較的しっかりとした繊維性組織で包まれています。椎間板が動くことで首が曲がったり回旋したりするのですが、この椎間板の繊維輪に亀裂が入ると椎間板内の奥にあるクッションで言うところの中の綿のようなもの(髄核と言います)が、外に出てきてしまいます。この髄核の外への脱出を椎間板ヘルニアと呼びます。

頚椎椎間板ヘルニアのイラスト
*頚椎椎間板ヘルニアのイラスト

頚椎椎間板ヘルニアはどんな症状が出ますか?

通常椎間板ヘルニアは背中の方に向かって飛びだします。飛び出した先には脊髄と言われる脳から降りてきた神経の束が存在します。また少し左右にそれると、脊髄から左右の手に向かって神経根という神経の一部が枝分かれしています。ですので、飛び出した髄核が脊髄を圧迫した場合(脊髄症)と、神経根を圧迫した場合(神経根症)では異なる症状を呈します。

脊髄症歩行障害や細かい手作業ができなくなったりします(これを「巧緻運動障害」と言います)。
神経根症片側だけの上肢の痛みやしびれ、筋力低下を生じます。
椎間板ヘルニアのイラスト
*椎間板ヘルニアのイラスト

頚椎椎間板ヘルニアの原因は何ですか?

原因はよくわかっていません。コラーゲン遺伝子の変異が関連しているなどの報告もありますが、それだけでは説明できません。遺伝子多型(多くはタンパク質の変化に関与しない遺伝子の変化)が椎間板ヘルニアに関与しているという報告も最近増えてきましたが、決定的なものはまだありません。外傷などを契機として発症することもありますが、外傷の前後でMRIなどの検査をしている場合はほとんどないので、実際に証明することもほとんどできません。 当グループでは患者さんの遺伝子解析を進めておりますので、原因を明らかにすることにご協力いただける患者様がいらしたら、遺伝子の提供をしていただけると、将来の原因解明につながるかもしれません。

頚椎椎間板ヘルニアはどのようにして診断しますか?

MRIという検査で確定診断致します。ただし大切なことは画像で椎間板が突出していることではなく、画像と患者さんの症状が一致することです。例えばC5/6の右に突出した椎間板ヘルニアをMRIで確認しても、右手の親指付近や右上肢の撓側の痛みのしびれ(右C6神経根の圧迫症状)が存在しなければ、病的意味は全くありません。神経は障害された部位によって症状が異なります。画像の障害部位と、患者さんの症状種類・症状の出ている範囲から推測される神経の障害部位の一致が極めて重要です。

頚椎椎間板ヘルニアはどのような治療がありますか?

これまでに行われてきた治療は様々なものがありますが、現在も継続し行われている治療は保存治療(頚椎ネックなどの固定による頚部の安静、薬物療法、神経根ブロックなどのブロック注射)と外科的治療です(レーザー治療、前方固定術、椎間孔拡大術、椎弓切除、椎弓形成術など)です。細かい治療方法にはさらにバラエティーがあり、例えば神経根症に対する背中側からの治療方法である椎間孔拡大術にも、肉眼的、顕微鏡的、MEDシステムも用いる、FESSなど様々です。それぞれの利点欠点を医師からご説明頂き、最も適した治療を受けられることをお勧めします。

頚椎椎間板ヘルニアを早く治すにはどうしたらいいですか?

早期の治療をご希望であれば、外科的治療を選択することになると思います。外科的治療でも神経根症であれば、FESSによる椎間孔拡大術が、最も入院期間が短く(当グループでは3泊4日)、治療効果もMECLに劣りません(現在論文執筆中)。ただし頚椎のFESSができる医師は限られておりますので、当グループにご相談ください。

頚椎椎間板ヘルニアの治療をせず、放っておくとどうなりますか?

保存的に経過をみて症状やMRI画像での椎間板の突出が自然に軽快する場合もあります。ただしそれには通常数カ月を要しますし、軽快しない場合もあります。また突出した椎間板が骨化したりして、結果として骨性の椎間孔あるいは頚部脊柱管の狭窄を呈する場合もあります。早期の外科的治療がこれらの予防につながるかは、コンセンサスが得られておりませんが、通常3カ月程度保存的に加療し、症状の改善が見られない場合は手術を考えるのが一般的です。

首の手術はリスクが高いと聞きました。手術を受けたいのですが、怖くて踏み切れません。どのような症状になったら、手術を決断するべきでしょうか。

首の手術では確かに神経の愛護的操作が腰椎以上に重要で、手術を行う医師にはそれが求められます。然しどんな手術もリスクが0ではなく、また担当する医師も神経周囲の手術操作には細心の注意を払って行っていることをご理解ください。また手術がうまくいっても、術後の経過観察が重要です。手術後手術した部位に血が溜まると、後方からの手術では神経を強く推して脊髄症を呈することもあるからです。また前方からの手術では血が溜まると呼吸困難になる場合があり、いずれも緊急手術が必要になります。当グループでもこれらのことが起こったことがありますが、適切に対応し患者さんは元気に退院されております。手術を決心するのは、少なくとも脊髄症の場合、歩行障害や巧緻運動障害(Q2参照)、筋力低下などが生じた場合には検討すべきと思います。それは脊髄の障害が生じると手術をしても十分回復しない場合もあるからです。

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