腰部脊柱管狭窄症とは、加齢など様々な原因で骨・関節・椎間板・靭帯などが肥厚し、神経が通る管(脊柱管)が狭くなることで神経の血行を阻害し、症状が出る病気です。腰椎椎間板ヘルニアと同様に坐骨神経痛を起こす病気の一つでもあります。
右上のMRI画像からは①椎間板膨隆による脊柱管の圧迫、②黄色靭帯による脊髄の圧迫、③黄色靭帯の肥厚により脊柱管が狭くなっていることが確認できます。
腰部脊柱管狭窄症とは、加齢など様々な原因で骨・関節・椎間板・靭帯などが肥厚し、神経が通る管(脊柱管)が狭くなることで神経の血行を阻害し、症状が出る病気です。腰椎椎間板ヘルニアと同様に坐骨神経痛を起こす病気の一つでもあります。
右上のMRI画像からは①椎間板膨隆による脊柱管の圧迫、②黄色靭帯による脊髄の圧迫、③黄色靭帯の肥厚により脊柱管が狭くなっていることが確認できます。
腰部脊柱管狭窄症に対する手術にはいくつか方法があります。1つは椎弓の一部と肥厚した黄色靭帯などを切除して脊柱管を広げる方法、もう1つはそれに加えて上下の骨を癒合させる方法です。ただし、すべり症のように腰椎が前後左右にずれていた場合は、固定術が必要となります。このページでは椎弓と肥厚した黄色靭帯を切除する手術と固定術をご紹介します。
手術の種類 | 術式 | 麻酔 | 入院日数 | 保険適用 | 創 |
内視鏡下手術 | MEL | 全身麻酔 | 4~7泊 | 有り | 18mm × 1箇所 |
内視鏡下手術 | FEL(FESS) | 全身麻酔 | 2~3泊 | 有り | 7mm × 1箇所 |
内視鏡下手術 (固定術) |
ME-PLIF/TLIF | 全身麻酔 | 10~14泊 | 有り | 18mm × 1箇所 12mm × 4箇所 |
内視鏡下手術 (固定術) |
XLIF | 全身麻酔 | 10~14泊 | 有り | 30mm × 1箇所 12mm × 4箇所 |
切開手術 | 従来法 | 全身麻酔 | 3週間程度 | 有り | 120mm~150mm × 1箇所 |
※ 上記の内容はあくまでも目安になります。予めご了承ください。
MELは内視鏡を使用した手術です。全身麻酔後に、背部に18mm程の皮膚切開し、内視鏡の管を通します。内視鏡の映像はモニタに映しだされ、医師はモニタを確認しながら、椎弓を切除し、肥厚した黄色靭帯を切除することにより神経の圧迫を取り除きます。MEDと比べると、やや出血量が多く、手術時間は30分ほどです。
脊柱管狭窄症は高齢の方に多い疾患ですが、低侵襲手術ですから、深刻な持病がない限り、80~90代の方でも安心して受けられます。当院の最高年齢は95歳です。
1 | 傷痕が目立ちません。 |
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2 | 従来法のように背部の筋肉を大きく切る必要がない。 |
3 | 術後の痛みが軽く、回復も早く、手術部分の細菌感染の危険性が少ない。 |
4 | 退院が早く(4~7泊)、日常生活や仕事への復帰も早い。 |
1 | MEDと異なる点は、椎弓を切除しますので、MEDに比べると出血量はやや多く、手術時間もやや長くなります。不安定性が強く、除圧のみでなく固定が必要な場合も適しません。 |
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FEL(FESS)は、直径7mmの微小内視鏡下で肥厚した黄色靭帯を切除する手術です。筋肉の剥離が従来の手術方法より少なく、全身麻酔で行います。
腰部脊柱管狭窄症に対するFEL(FESS)は適応が限られており、片側性の(片側の脚だけに痛み・痺れ等の症状が現れる)外側陥凹狭窄など、一部のタイプの腰部脊柱管狭窄症にのみ相性が良いとされています。
1 | 傷痕が目立ちません。(7mm弱) |
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2 | 術後の痛みが軽く、回復も早く、感染の危険性が少なく、呼吸器系の合併症も少ない。 |
3 | 背骨に付いている筋肉を剥がすことが最少。脊柱の安定性を損なうことが非常に少ない。 |
4 | 退院が早く(2~3泊)、日常生活や仕事への復帰が早期に行える。 |
5 | 通常の内視鏡下手術よりも低侵襲です。低侵襲とは患者さんのお身体への負担が少ない治療のことを言います。 |
6 | 当院のFEL(FESS)には、健康保険が適用されます。 |
1 | 術者に高度な技術が求められるため、実施可能な医師が少ない。 |
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2 | 全てのタイプの腰部脊柱管狭窄症にFEL(FESS)が適応するわけではなく、一部の狭窄症のみが適応。 |
1 | 傷痕が目立ちません。 |
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2 | 術後の痛みが軽く、回復も早く、感染の危険性が少なく、呼吸器系の合併症も少ない。 |
3 | 背骨に付いている筋肉を剥がすことが最少。脊柱の安定性を損なうことが非常に少ない。 |
4 | 退院が早く(10~14泊)、日常生活や仕事への復帰が早期に行える。 |
1 | 背中側の筋を痛めない。 身体の側方から内視鏡を挿入するので、背中側の筋や神経に触れず、手術の傷による術後の痛みが軽減できます。 |
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2 | 大きなケージが設置可能。 椎間板に対して、ME-PLIF/TLIFよりも大きなケージを設置することができるので、術後の安定性が増したり、骨が再びくっつくのが早まります。 |
1 | 狭窄が高度な症例では使用が難しい。 神経の負担を直接取り除くことができないので、狭窄が高度の場合はXLIF単独で実施するのが難しくなります。 |
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2 | 大腿神経群を損傷するおそれ。 股関節や膝関節などの下肢を動かす神経を損傷するおそれがありますが、電気刺激を利用した専用のモニターを使用し、神経を確認しながら手術ができるようにして、神経障害の発生を減らす工夫をしています。 |
3 | 手術困難な場所がある。 一番下の椎間板(L5/S)には解剖学的にアプローチができません。※ 下から二番目の椎間板(L4/5)でも、解剖学的特徴によっては手術困難な場合があります。 |
当グループは東京都江戸川区と品川区に病院が御座います。
腰や首の治療は両病院、スポーツによるケガの治療は稲波脊椎・関節病院で行っております。