膝前十字靭帯損傷(断裂)は特にスポーツ時に起こりやすいケガです。原因は「接触型」「非接触型」の二つに分かれます。
スポーツ動作でのストップや、方向転換で踏み込んだ時に、膝の強いずれ感、もしくは「ブチッ」または「ゴキッ」などの衝撃や音を感じます。転倒し、数分間は膝を抱え動けないほどですが、その後は歩行は可能なことが多いです。しかし数時間のうちに腫れが起こり、動きが悪くなりますのでなるべく早期に氷で冷やし続けることが望まれます。
2週程度で痛みと腫れも落ち着き、小走りも可能となりますが、踏ん張って身体を支えるのは怖さが残ります。普段の生活はあまり困ることはなく、直線での走りはスピードを上げられますが、ストップ動作には怖さがあり、不用意に止まると膝がズレて亜脱臼が起こります。
膝のずれ感、がくっとずれるような膝崩れ、関節の腫れなどの症状が生じている場合、MRI検査で診断します。
損傷あるいは断裂した膝前十字靭帯が元通りになる可能性はほぼありません。今まで通りの競技レベルでスポーツをされたい場合は靭帯再建術が必要です。前十字靭帯が損傷していても日常生活に支障がないことが多いので、ご高齢で活動レベルの低い方や手術を希望されない方には保存治療を選択することもあります。ただ、靭帯が損傷した状態が長く続くと関節軟骨や半月板に損傷が生じ、将来的に変形性膝関節症に進行するリスクがあります。
再断裂と半月板損傷のリスクを抑えるため、前十字靭帯再建術と同時に前外側関節外補強術を行うこともあります。以下のケースに適応があるとされています。
前外側関節外補強術は、前十字靭帯再建術後の再断裂回避に有効な方法として近年注目されています。以下はスポーツ・関節センター長の福田医師が執筆した論文です。前十字靭帯再建術に前外側関節外補強術を追加した4例について、術後大きな膝外傷を経験したにもかかわらず、4例とも再断裂を回避しました。
Prevention of Postoperative Graft Rupture by Additional Lateral Extra-articular Tenodesis in Anterior Cruciate Ligament Reconstruction: A Case Series of Four Patients
H Fukuda, S Asai , R Yamaguchi , K Ueno , Y Ichiro , H Iwai. Cureus 17(4): e82790. DOI 10.7759/cureus.82790
当院スポーツ・関節センターでは、「Patient-Centric / Athlete-Centric Treatment(患者さん中心/アスリート中心の治療戦略)」を理念に掲げ、日々患者さんの治療にあたっています。スポーツをされている方なら、何の競技か、競技レベル、ポジション、体格、利き足、得意な技、過去のケガ、チームとの契約状況などを総合的に評価します。その結果として、移植腱の選択から手術方法、リハビリプランに至るまで、画一的なものではなく、一人ひとりに最適な治療戦略を立てています。
診察や問診を丁寧に行い、患者さんからいただいた情報を最善の治療に繋げてまいります。ぜひご受診、ご相談ください。
当グループではホームページでの「患者さんの声」掲載を中止致しましたが、ご希望の方にはメールまたは郵送にて送付するサービスを行っております。詳細は「患者さんの声」ページをご覧ください。
手術までの流れをご一読して頂き、整形外科外来にて福田医師、 山口医師、山下医師の診察をお受けください。
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